お便り申し上げます

　まぶしいや。太陽ってのはよ。朝ってのはどうしてこうも、明るくてまぶしいのかね。

　特に今時分なんかは、空気がさ澄んでてさ、ちょっと吸い込んだら肺がビリビリするぐらいさね。

　それでさ、うちのナンノコッチャ（飼い犬ね、雑種）が散歩行こう行こうと、足元へ来てから、そらもう尻尾なんかグルングルンでさ、俺はさ、朝飯前に散歩に行くのよ。

　家でてさ、最初の角を曲がるとさ、ナンノコッチャの友達のチンペイ（よその家の犬、犬種はわかんない）がいてさもう、はしゃいじゃうわけよ。でもさ、俺もまんざらじゃないんだよね。そこの一人娘の絵美ちゃんがさ、別嬪さんでさあ、もうほんと、いや俺みたいなおじさんには、手が届かないのは承知なんだけれどもさ、話しかけられたりするじゃない、犬が仲良しだから、目も合わせられなくてさ、勝手にドギマギして、あたふたして「いい天気ですね」って言われて「そうですね、はい、今日は朝は小倉トーストです」とかトンチンカンな返事しちゃってさ。バカなんだよね。

　散歩の途中に公園があるわけ。そこそこ大きい公園でさ、真ん中に池もあって、鯉とか亀とかいるわけ。俺とさナンノコッチャはベンチにちょっと座ってさ、赤い鯉がさ、ゆらゆら〜ゆらゆら〜泳いでるのね、赤いやつはなんか偉いのかな〜とか思うわけ、俺は。
　誰かに餌とかもらってるのかなとかね。ナンノコッチャはたぶん別のこと考えてると思うよ。亀って食べれるのかなとかね、うまいのかな、とか考えてると思うけれど、あいつは日本語喋れないからね。あいつはもっぱら犬語だからこっちが斟酌しなきゃいけないだよね。

　散歩がね、終わるとやっとこさ、俺の朝ごはんだ。もちろん小倉トーストは食わねえ。いや、場合によっては食ってもいいんだけれど、あんこなんて常備してないしさ。
　正月に食うよ。もしあれなら正月に食うよ。悪く思うなよ。

　菓子パンを食うんだ。あんぱんは食わんねえ。いや、クリームパンの方が好きなんだよ。悪気はねえんだよ、あんぱんには。好みってそういうもんだろ。クリームパンの方が好きなんだからしょうがねえじゃねえか。

　で飯食って、畑に出るんだ。ちゃんと手入れしてるからな、いい土なんだ。ふかふかでな。俺が土を食べたいぐらいだ。