ハーブティ研究家、メイドにチェンジで事件解決の助っ人を担う

1/2
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

ハーブティ研究家、メイドにチェンジで事件解決の助っ人を担う

「綾乃はここに倒れていたのね」  私も撮影スタジオの中を見た。探偵の連れということで許可が出た。私は、特に誰からも咎められない。 「ここが撮影スタジオか」  探偵も警部も、撮影スタジオに入って、同じような感想を口にしている。 「被害者は撮影セットの中に倒れていました。その後、左右のうち、右手のドアから撮影助手が入って来て、発見。その後、大勢駆けつけ、現場は入り乱れ、鑑識はまだ犯人特定には至ってません。上部も言っていますが、複数の人間が出入りできる環境で、証拠もない。これは誰か、通り魔的な者の犯行でしょうか?」 「殺害に関係する人が少ない場合と違い、大勢が関わる殺人は、また犯人が見つかりにくくなるが、現場に跡形もなく消え失せたことから、現場に詳しい者の犯行でないかと思われる」  閉鎖的な撮影スタジオで、探偵はどこか苦しそう。もしかして、心身が苦しいのかも。  でも、この状況でも、探偵の推理は鋭さを衰えさせてない。 「だが、この撮影セットの中で殺害後、犯人はどうやって姿を消したのだろう?この現場は大きいが、一つの部屋。どこにも隠れて、逃げる隙もない。大勢がいる場所、外へ出ても大勢の人がおり、いつでも見つかる可能性がある」  探偵はあちこち歩いて、現場の機材を見たり、机の下をかがんでのぞいてみたり、やはり、場には不慣れな感じだ。  さすがの探偵でも、スタジオの初心者なのだ。この点に関しては、私のほうがかつて知ったる何とやらだ。どこに何があるのか、目をつぶっていても分かる。 「ねえ、探偵さん、ちょっと来て」  私も綾乃が倒れていた撮影スタジオの中をぐるっと見る。撮影ではいつも使われる脚立、照明、カメラ、撮影背景のセット置き場など、見慣れた風景を見ていく。  おかしなものはない。秘密の抜け穴もない。けれど、私は綾乃が倒れていた撮影セットを見て、ある一つの考えが頭に浮かんだ。 「なんだい?」 「このロ」 「おーい、芽衣、芽衣じゃないか?久しぶり、どうしてた?ひゅう、今でもすごく綺麗だな、お前」 (げ、タカシ)  その時だ。私のことを追いかけ回す男性モデルのタカシがスタジオにまで入って来た。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!