12月。

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「お前は、本当に強いな」  また苦笑しながら和哉が言う。 「強くないの、もう知ってるじゃん」  そう、私はもうずっと精神病と闘いながら、なんとか仕事を続けている。過食・嘔吐からの躁鬱病。それが私の診断結果だった。和哉にももうその話はしている。付き合っていた頃はとても元気だったのに。 「それとこれとは別よ。強いよ、お前は」 「好きに終わりはないからね。だから、和哉は自分のことを頑張ればいいよ。なにかあったらまた飛んでいくし、なにもないならそれに越したことはないしね」  本当のことだった。もちろん、会えるなら何度だって会いたいけれど、そんな関係ではない。ただ、頼れる人がいないから私に連絡をしてくるのだから、本当につらいときなら私はすぐにでも飛んでいく。前に二度向こうに行ったときも、和哉が本当に落ち込んでいるときだった。別れてから、初めて彼の実家に泊まったのももう懐かしい話だった。 「今度…またそっちに行くときは連絡するよ。いつになるか分からんけど」 「えっ」  驚いてしまった。今まで、そんな希望のあることを和哉が言い出したことはなかった。 「え、ってなに」 「いや、びっくりして。いつになってもいいよ。そういう日が来るといいなと思ってる。なくても落ち込まないから安心していいよ」 「なんそれ」  なんそれ、は彼の口癖かもしれない。私は嬉しくなってふふっと漏らした。もしかしたら、私たちの関係はまだ修復可能なのかもしれない。そんな期待を少しだけしてしまった。彼とは別れよう、と改めて決心した。
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