何度でも

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 二十戦無敗チャンピオンの名は伊達じゃなかった。  スピード、テクニック、パワー、全てで上をいかれている。  殴ろうとしても蹴ろうとしても、そして組合に持ち込もうとしても、まともには当たらなかった。  僕のがむしゃらな攻撃は、ことごとくよけられ、受けられ、あしらわれた。 「君は強い。もっと強くなるだろう。だが、まだ私の敵じゃない」 「黙れ、僕は今日あんたを倒す。新しいチャンピオンは僕だ」 「やれやれ、その決意だけは立派なことだな。だが、そろそろ引導を渡すとしよう」 「クソッたれ!!」  闇雲で出した右のパンチに対して、チャンピオンは冷静にカウンターをとってきた。  一撃必殺の掌底が来る、と思ったときには僕の右頬にチャンプの掌底がめり込んでいた。  脳が揺れるぐにゃりとした感覚や、脱力感、浮遊感。  初めて戦うはずなのに、そのすべてに覚えがあった。  突如フラッシュバックする記憶。チャンピオンも驚いたように目を見開いている。 「美玖ちゃん?」 「隆君?」  こんな事ならもっとちゃんとチャンピオンの顔を見ておけば……。  その直後、僕の視界は暗転した。 
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