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普段から聞いている電子音が、今日は耳障りだった。
まあ、耳なんてないのだが。
このゲームセンターも今月末で閉店となるらしい。
まあ、僕のような旧型のパンチングマシーンが現役で稼働している時点で、このゲームセンターの歴史も推して知るべしというべきか。
それに、もう一つ閉店する理由がある。
店に置かれたゲーム機のいくつかは稼働していなかったり、画面が割れたりしている。その原因を作ったのは、老朽化というだけではないのだ。
自動ドアが開き、若い男たちが数人入店してきた。
中心にいる髪を金色に染め、ピアスを開けた大柄な男がリーダーである。
彼は肩に真新しい金属バットを担ぎ、にやにやと笑いながらがらんとした店内を見回している。
「へへへ、ようやく店を閉める気になったらしいな」
どういう理由かはわからないが、彼はこの店を潰したがっているらしかった。
何台もの仲間が彼の手によって破壊された。
店主は警察を呼ぶなどの対応もしていたが、何かあったらしくある日を境に従順になり、その日に閉店を決めた。
「頼むから、家族には……手を出さないでくれ」
「あんた次第さ」
そんな会話を聞いたことがある。ともかく、まともじゃない連中に目をつけられた。
そういう事だろう。
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