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少年
「私は、、、名前、、、」
私は自分の名前が嫌いだ
鈴木陽のように自分という人間に、名前がピッタリだということは決してない
むしろ真逆と言っても過言ではない
なぜ親はこんな名前を付けたのだろうか
どんどん思考が堕ちていく
「、、、名前、言いたくなかったら言わなくてもいいぞ」
私が黙っていると少年はそう言った
「えっ?」
「言いたくないんだろ?さっき玄関で聞かれた時も言いづらそうにしてた。お前に何があったかは知らないけど、言いたくないものは言わなくていい」
そんなふうに言われたのは初めてだった
今はまだ、、、私の話を他人に話すのは怖い
でも、コイツにならいつか話せる日が来るかもしれない
「ありがとう」
私はそんなに上手に言葉にして気持ちを伝えることはできないからこの一言に精一杯の感謝を込めた
「おう!
とは言ってもなぁ。ずっと”おまえ”って呼ぶわけにもいかねーしなー」
「呼び方なんてなんでもいい」
実際私の名前なんてもう何年も呼ばれていない
「いやいや、そーゆーわけにはいかないだろ」
「そういうもの?」
「そう。そーゆーもん」
呼び方か
本当になんでもいいんだけどな
おまえ のままでも全然いいのに
「んー。」
私がそう思っている間、少年いや、鈴木陽は怖い顔をしてうんうん唸っている
「わかった。俺はおまえのことが知りたい。話したくないことはさっきも言った通り聞かない。けど、おまえが話してもいいかなって思うことを少しづつ知っていくことにする。だからお前が嫌じゃなければ、おまえの名前の最初の文字を教えて欲しい」
いきなり何を言い出すのだろう
私のことを知りたい?
なぜ?
私のことを知ったところで何もないのに
私の名前の最初の文字?
私は自分の名前が嫌いだ
でも鈴木陽になら言ってしまってもいいかもしれない
最初の文字だけなら、、、
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