外の世界

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外の世界

ある冬の寒い日、朝起きるといつもより体がだるい気がした 毎日のように殴られているから怠いのはいつものことなのだが、それ以上に、だ こんなのバレたらどうなるかわからない ここから追い出されたら私は行く場所がない こんな場所でも外よりはマシだ 意地でも隠し通さなければならない それからどれくらいの時間が経っただろう いつもよりだるい体はもうずっと熱いままで、意識も、もうほとんど保っていない 夢を見た このまま、私の体は熱に侵され、誰にも気づかれることなく私はこの世から消える まるで私なんて最初からいなかったみたいに あぁもう誰にも殴られない 誰かの愛に狂わされることもない ずっと、ずっと、この夢が醒めなければいいのに、、、 だが、そんな夢は体に受けた衝撃によって覚醒させられる どうやら私は殴られたらしい 「チッ お前熱あんのかよ てか、もう死ぬんじゃね、お前 ここで死なれると迷惑なんだよ 10年もここにおいてやったんだ お前もう、出ていけ」 ついに私は捨てられた しかし不思議となんの感情も生まれてこない それどころか、どこかスッキリした気分ですらある あぁ、、、やっと、やっと、、、終わった とにかく此処からできるだけ離れなければならない 熱のせいでおぼつかない足取りで、ひたすら歩き続けた
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