外の世界

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どれくらい歩いただろう だいぶ歩いた気もする でも、あまり進んでいないのかもしれない 見慣れない街の路地裏で私は座り込んだ 足にはもう力が入らず、景色はグルグルと回っている いや、景色ではなく自分の自分の目が回っているのである 遠くに聞こえる街の喧騒を最後に私の意識は途切れた どれくらい眠っていたのだろう 私は誰かの声で目を覚ました 「、、、、、、ぃ 、、、ぃ、、、ぶか? 、、、おい!お前!大丈夫か?」 目を開けるとそこには制服を着た少年が私の前にしゃがんでいた 「お前、こんなとこで何してんだ? 風邪引くぞ」 「、、、、、、何って、休憩?」 「はぁ?こんな真冬にこんなとこでか?」 「そうだよ。アンタには関係ないでしょ。 ほっといて」 「ほっといてって、家帰んねーのか?」 「、、、、、、こしか、、、ぃの」 「ん?」 「だから!!こんなとこしかないの!!わかったらもうどっか行ってよ!ほっといてって言ってるじゃん!」 「、、、わかった。悪かったな、邪魔して あっ、あとこれやる マジで風邪引くぞ」 そう言って少年は去っていった 彼の温もりを残したマフラーを置いて (風邪引くぞってもうすでに引いてんだよバーカ) きっとあいつは親に愛されて育ってきたんだろう 愛のいい部分だけを見て育ったのだろう 愛に狂わされた私の人生とは真反対の、いつか見たあのドラマのような愛を受けて育ったんだ それにしても、人の体温を感じたのはいつぶりだろうか 人の体温はこんなにも暖かいものだっただろうか この温もりがいつか消えていくのと同じように、このよくわからない、心がポカポカする気持ちも消えてしまうのだろうか なぜかそれは少し、少しだけ、寂しいと思った その寂しさを埋めるように、マフラーに顔を埋め、私は再び目を閉じた
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