外の世界

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次に目を覚ましたのは、次の日の夕方だった あまり良くなったとは言えない体の火照りと、こんな時にも感じる、僅かな空腹で目を覚ましたのだ。 体調が悪い時くらい、空腹感がなくなってくれればいいのに そうは言っても私にはこの体調不良も空腹も、どうにもすることはできない このままずっとここにいれば私はこのまま死んでいくのだろう 生きるのは辛い、けど死ぬのは怖い しかし、死んでしまえば、それ以上に怖いことなどないだろう ならいっそうのこと、死んでしまった方が楽なのかもしれない 碌な食事も睡眠もしていない体は疲弊しており、思考回路すらもマイナスな方に引っ張られる 側から見たらそれは、虚な目でボーっとしている危うげな少女だろう そんな少女の思考を現実に戻したのは昨日の少年だった 「お前寒くねーの?」 「あっ、昨日の、、、」 「よっ」 「あの、、、えっと、」 「ん?」 この少年が来たということは、マフラーは返さなくてはいけないのだろうか いや、普通に考えて返すべきなのだと思う しかし、何故か返したくないと思ってしまう 「えっと、あの、、、マ、マフラー、ありがとうございました」 返したくないという気持ちを抑え、顔を埋めていたマフラーを畳む 「いいって。俺、お前にやるって言っただろ?だからこれはお前のもんだ」 「でも、、、いいの? 私、お礼できるような物何も、、、」 マフラー、持っててもいいんだ、、、 「おう!礼なんていらねーよ。てかお前昨日の威勢はどうした? ほっといて!って叫んでたのに、今日は静かじゃん? やっぱ風邪ひいたか?」 「なっ、なんでもない、、、」 「そうか? ん?お前顔色悪くね?」 そう言って少年はおでことおでこをくっつけてきた こんなふうに熱を測られるのはいつぶりだろうか ボーっとする頭で考えていると、少年と目が合い、自分の顔に熱のせいではない、また別の熱が集まるのがわかり、急いで顔を逸らす 「あつ!お前やっぱり熱あんじゃねーか」 「ねっ、熱なんかないもん」 「ないもんってお前なぁ、その顔で言われても説得力ねーよ」 「、、、、、、でも、、、どうすることもできない、、、から 私にはもう、、、帰る場所が、ないから」 「、、、、、、よし。お前に何があったかは知らんが、今お前にある選択肢は 俺に姫抱きされて俺の家に来るorおんぶで俺の家に来るの2択だ」 「なっ、、、!お前の家になんか行かない!私はここでいい!」 「おっ、昨日の威勢復活か? しっかしなー。お前このままここに居たら死ぬぞ?」 「、、、、、、いいよ」 「、、、はぁ、お前が良くても俺がよくねーの」 「なんで、、、」 「なんでって、俺はここにお前がいることを知ってる。でもって、体調が良くないことも知ってる。このままここにいると死んじまうってやつをほっていってお前が死んだら胸糞わりーんだよ」 「お前には関係ない」 「関係あんのー とにかく2択、早く選べよ。選ばなかった場合は、、、強制的にお姫様抱っこな」 「っ、、、なっ、」 お互いに名前も知らないのに、どうしてこの少年は私に構うのだろう 私なんかが、少年の家に行けるわけないのに そもそも迷惑じゃ、、、 「ほら。早く選べよ。それともお姫様抱っこして欲しい?」 そう言って少年はニヤリと笑う 「お姫様抱っこは、、、やだ」 咄嗟にそう答えてしまった 「おう。わかった。じゃあおんぶな。ほら乗れよ」 そう言って少年は私に背を向ける 私は戸惑いながらも渋々少年の背中に乗る 「よし。じゃあ、しゅっぱーつ」 少年はやる気のなさそうな出発の合図で歩き出した こうして誰かの背中に乗るのなんていつぶりだろうか 思っていたよりずっと目線が高い それに直に感じる人の体温は暖かい、、、 しかし、自分の荷物と私の荷物、それから私をおぶって歩いているのだ 「おっ、重くない?」 「んー?ぜーんぜん。てかお前軽すぎな。ちゃんと飯食ってんかー?」 軽いのは当然かもしれない なんせ碌な食事も与えられず、長い間部屋に閉じこもっていたし、たまに部屋から出たと思ったら殴られるだけだったのだから そういえば、何故私はこの少年にこんなにも心を許しているのだろうか あの家にいた時はどれだけ見た目が優しくて、言葉遣いが親切だったとしても人を信用することなどなかったのに 結局は殴られるとわかっていたのだから
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