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「陽君、お帰りなさい」
しばらくするとリビングの扉が開き、おっとりした、優しそうな女性が現れた
「ただいま帰りました」
「あら?そちらの方は?」
どうやら女性が私に気がついたようだ
「わあ〜ほんとだ!お姉ちゃんだぁーれー?」
そしてその女性の言葉で優君はようやく私に気がついたらしい
「えっ、あの、えっと、、、」
何を言えばいいのだろうか
私がここにいる理由?
でもそれはこの少年に半強制的に連れてこられたわけだし
いやいや、その前にまず名前か?
名前、、、名前、、、か、、、
テンパっていろんなことが頭をぐるぐる回る
「俺の知り合いです。こいつ体調悪いみたいで」
私が言葉に詰まっていると少年が紹介してくれた
「あらあら、そうなのね。うちで休んでいくといいわ」
休んでもいいなんて言葉を聞くのはいつぶりだろうか
今まで多少体調が悪くとも、あの親戚たちの言いなりになるのが当たり前だった
そう思うと、休んでもいいと言ってもらえるこの環境が場違いな気がして落ち着かない
やっぱり帰ろう
きっと私にはあの路地裏がお似合いだ
「あっ、あの、やっぱり私帰ります。ご迷惑お掛けするわけにはいけませんから」
だが、少年と少年の母親はそれを許してはくれなかった
「、、、はっ?お前何言ってんの?」
「そうよ。ゆっくりしていきなさい」
早くこの空間から逃げたかったのに、ここにいていいと言われた時の心がぽわぽわする感じは何なのだろう
でもやっぱり私はここにいていい存在じゃない
こんなに綺麗な空間にいていいわけない
こんなに暖かい空間にいてはいけない
だって私は、、、汚い
すごく、、、、、、すごく、、、汚い、、、から、、、
今までずっとこんなこと気にしたことなかった
いや、気にする暇も無かった
でも今、私がすごく汚れているということがわかる
逃げたい、ここにいたい、でもやっぱり、、、
自分で自分がわからない
お前は一体どうしたい?
どうするのが正解?
誰か教えてよ、、、
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