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「相手は俺の恋人、だよ。だが、根回しをして家同士の利害を一致させた」
「つまり、こいつは前もって周りから固めたってことだ。まぁ、有能なランハート・ヴェッティンから求婚されて断るバカはいないと思うけどね」
「念には念をだ。ああ、リティ、まだ内密に頼む」
「わかったわ」
リティアはランハートに恋人が出来たことも知らなかった。つい、ふさいだ顔をしてしまったのか、ランハートが笑う。
「寂しがる必要ないだろ、リティ。君の方が先に結婚するだろうしね。ああ、そうなるとここで気軽に話しかけることも出来なくなるかもな」
「そんなことないわよ」
リティアはそう言った。“ヴェルターと結婚することはないのかもしれないのだから”そう言う事は出来なかったが、リティアはその覚悟を持たなければいけないと思った。ヴェルターと結婚しなければ、こうやって気軽に友人と話せるか、それはまた状況が変わって来るのだ。
「とにかく! この中の誰も片思いはしたことがないってことだな。……ちなみに、シュベリー卿だって、片思いをしたことはないぞ」
リティアはレオンの言葉を理解するとぱっと顔を明るくした。
「そうなの、ああよかった。ウォルフリック! 」
「そうだな。彼、あれが初恋なのかなー。初恋はこじらせると……まぁ、大変だ」
「……そうなの? 」
「え、ああ。なあ、ラン」
「そうだな。元々立場上恋愛も平民ほど自由ではないからな。だが、幼少期やアカデミー時代の初恋は大人になってからの男女における関係に大きな役割を担っているのは事実だ」
「……最初の恋が? 」
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