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リティアを見送ると、レオンとランハートは顔を見合わせ、お互いの背中を叩いた。
「とにかく、ヴェルターが多忙で窓の外を見てなきゃいいんだけど」
「そうだな。見える所で会ってるくらいの純粋な二人だし、かわいいもんだが」
「……なぁ、ラン。どう思う」
「そうだな。色々思うことはあるが、結局のところ俺たちが何もしなくてもヴェルターとリティアは結婚する、ということだ」
「まぁ、そうだな。ヴェルターが変なことはともかく、リティアはどうしたというのだろうか。疑似ではない恋愛をすればいいじゃないか、ヴェルターと」
「初恋はこじれるんだろ。ラン」
「お前の方が恋には詳しいんじゃなかったのか」
「……」
「……」
「戻るか」
「そうだな」
二人はもう一度肩をたたき合ってその場を離れた。
◇ ◇ ◇ ◇
ランハート・ヴェッティン及びレオン・フリューリングの危惧していたことはその通りになっていた。
……見たくないものほど見てしまうものだ。
見たくないのに見える場所にわざわざ行ってしまう。この自傷行為ともいえる行動を繰り返し、ヴェルターはひどく傷ついていた。
なぜ、リティアは宮廷に来るのだろうか。その疑問を持つのは一度や二度ではなかった。その都度理由から自分は除外されるとわかっているのに自問してしまう。だが、ここ最近は自分が除外されるだけでは無かった。自分の婚約者であるリティアは確実に他の男に会いに宮廷に来ていた。
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