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ええ、そうね。でも色白で儚いことが良しとされる貴族間で、王太子妃になる私には剣なんて必要ないのよ。ましてや傘もささずに外にでるなんて許されることじゃないわ。リティアはぐっと唇を噛んで言葉を呑む。
バンっとバンっと体に弾力のある衝撃を感じて、俯いて唇を噛んでいたリティアは、唇を噛み切ってしまうところだった。
「いっ」
「リティアー!! なんって素敵なの!! ありがとう、ありがとう、ありがとう!! 」
アンが全力で抱きついてきたのだ。リティアは状況が読めず、この人、豊満なものまでお持ちだわ、と体感していた。
「お礼を三度も言われるようなことは何もしていないわ」
ようやくアンの弾力から解放されたリティアは息も絶え絶えで言った。すっと指で自身の唇を確かめたが無事でほっとした。アンは、うっとりリティアを見つめると子供たちには聞こえないように声を落とした。リティアはアンに見つめられ胸がどきどきした。同性でも見つめられると恥ずかしくなるくらいアンは美しかった。至近距離ではなおさらだ。
「子供たちを見て]
アンに言われた通りに子供たちを見る。元気いっぱいだ。なんだろうか、とリティアは意図がわからずアンに答え求めた。
「男の子も女の子も同じくらいの比率でいるの」
言われればそうだ。それぞれが剣を持って真剣な顔をしている。そうか、と悟った。
「確か、もう少し幼い時は剣を持つことに抵抗はありませんでした。けれど、年齢が上がるにつれて剣を持つことななくなりました。私たちレディは」
アンはその通り、とばかり頷いた。
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