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「すまない、ヴェルター。邪魔したか? 」
「ええ、叔父上。何のために髪まで染めたのか察していただけますか」
「……ごめんなさい」
リティアはアデルモ・フォン・エアハルドの前では妙に子供っぽく感じられるヴェルターを見るのが好きだった。
「ごめんなさい」
高潔な彼も甥っ子には弱いのだ。しゅんとしたアデルモについ吹き出してしまうと、アデルモはリティアを見てますます目じりを下げた。
「かっわいいな、リティ。ブラウンの髪も良く似合う」
腕を伸ばし何のためらいもなくリティアを抱きかかえるアデルモをヴェルターが止める。
「叔父上! レディに何てことを」
「あ、そうか。でもまだこんなに小さいぞ? 」
「おじさま、私はもうとっくに成長はとまっておりますわ」
とはいえ、懐かしくてリティアも子供のようにはしゃぐ。アデルモは人を油断させるのが得意だった。が、久しぶりの再会に盛り上がるには見物人が多かった。
「……ああ、そうだった」
アデルモの後ろには多くの美女たちがこちらをほほえましく見ていた。アデルモが声を落とす。
「いやぁ、ラゥルウントは本当に美女が多い」
アデルモの言葉通りだった。アンを見た時も驚いたが、本当に綺麗な人たちだった。それぞれに簡易な挨拶を交わす。
「叔父上、この方々とは? 」
「うむ。街を見たいと言うのでな。案内をしている。簡単に言うと君たちと同じ。デートだ」
「どこが同じなのですか、全く」
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