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「はは。あまり邪魔をしてはいけないからな。また後日、正式に会おう。せっかくここへ来ているのに時間が足りないな。正式に会った後にもまた会おう。私がこっちにいる間毎日でも構わない」
「……ああ、はい」
「時間の許す限り、会おう」
「ああ、はいはい」
アデルモはリティアにウィンクして去っていった。
「あははは、もうおじさま大好き」
「いい加減落ち着いて欲しいよ。何だよ、団体でデートって」
「すごく綺麗な方だったわね。特に前にいらっしゃった、あれ……? どこかでお会いしたことがあったかしら」
「いや、知らないが、彼が直々に案内しているということは、来賓の可能性がある。それなら後日また正式にお会いすることになるだろうね」
ラゥルウントに知り合いなどいるわけは無かったが、なぜか知っている面影を感じた。ふわり彼らの残した香りにも覚えがあった。
「あ、髪を、どなたかも髪を染めてらっしゃるのだわ」
それは、染色料の香りだった。誰であるか、招待を隠したい身分の高い令嬢ってことだろう。だが、アデルモといる限り目立って仕方ないのだろうと思うと笑えて来てしまった。
「そうだね。叔父上は隠れる気がないんだけどね。ありがたいことだ」
「どういうこと? 」
「自らが案内することで他国の令嬢にこの国は王族が平民と同じように祭りを楽しめるほど王都が安定してるという開示をしているんだ。父上や僕にそれをさせられないからね。まぁ、僕はこうやってこっそりしてるんだけど。でもそれもわかってて自分に目が集まるように今日を選んでくれてるのさ、あの人は」
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