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「……素敵な人ね。やっぱり大好きだわ」
「……君を考えなしに抱き上げたりしなければもっと素敵なんだけどね」
アデルモは、街の人から歓声を浴びて手を振っていた。王族の象徴である銀の髪がキラキラと輝いていた。一緒に歩いている令嬢たちの目に密かに敬慕の情が映っているように見えた。
「モテるでしょうね、おじさまは」
「だろうね。結婚出来ないって言ってるけど、自分の結婚という切り札をまだ使いたくないんだよ」
「ええ、何か考えがおありなのでしょうね」
アデルモは何も考えてないように振る舞いながら一番国の利益を考える人だった。
「私たちもデートの続きをしましょうか」
リティアはアデルモに出会ったことで陽気な気持ちになり他意なくその言葉を使ったのだったが、ヴェルターの身体が一瞬強張ったのを見てヴェルターにそんなつもりはなかったのだと感じた。
「そんな風に見せた方がいいと思った……だけで、深い意味はないの」
「はは、うん。そうだね。リティ他に見たいところある? 」
「いいえ。でももう少しこの夜の熱気を感じたいわ」
「じゃあ、もう少し歩いてみようか」
リティアは歩きながら飲み物を飲むという初めての経験を楽しんだ。
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