第2話 悪女様こちらの準備は整っておりますよ

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 リティアは安堵するともう一度考えを巡らせた。帝王学の主たる教育が終わるまでに、悪女は登場するだろうと思っていた。が、まだ登場しないのだ。婚約破棄が言い渡されそうな大きな出来事も終わってしまった。残りは建国祭か、成人の儀か、結婚式くらいだろうか。さすがに結婚した後に離縁されると、その後の人生は平穏無事には過ごせないだろう。  ほんと、早くして欲しい。悪女さえ現れてくれたら、後は上手くやるつもりだった。ヴェルターの感情による婚約破棄であろうが、政治的要因があるように見せる方法を考えるつもりだ。  先に親たちにこの事が露見してしまえば、何とか婚約破棄を撤回させるように手回しされかねない。いくらリティアがヴェルターの幸せを祈っていると言っても強がりだと憐れまれるだけだろう。  ――いいのよ、本当にいいの。私は大丈夫なの。だからね、悪女様、まだですか?
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