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「……なぜって“僕たちも、そろそろ二人になりたい”って言っただろう? 」
ヴェルターは何を言っているんだ、とばかりに言った。
「え、それはあのリリーラとおじ様を二人にさせる口実でしょう? 」
「……いいや。本心だけど、君はそうじゃない? 」
「そ、そりゃあ……」
「うん。そりゃあ? 」
ヴェルターはリティアを追い詰める様に顔を近づけ、にこにこ笑う。
「もう、ヴェルター。そうやって余裕ぶってからかうのね。何だか悔しいわ」
「からかってないさ。もう遠慮はしないって決めたんだ」
こうなるとリティアも思い切って素直になるしかなかった。
だって、二人きりになりたいのは事実なのだから。リティアは恥ずかしさと嬉しさの入り混じった気持ちだった。だけど、何て満たされた気持ちなのかしら。リティアが知らず、早足になっているのをヴェルターはくすぐったい気持ちでエスコートした。
部屋の中に入るとヴェルターはリティアをソファに座らせ自ら給仕した。リティアが喉を潤したのを見計らって距離を詰めた。リティアは体を強張らせたが拒否はせずに受け入れた。だが、慣れない甘い雰囲気に耐え切れず喋り出す。
「どうしてヴェルターの部屋だったの? 私の泊まる客室でも良かったのに」
「君の部屋まで送って、ドアの前で“じゃ”なんて言われたら無理やり部屋にはいるわけにはいかないからね。僕の部屋なら僕から誘えるし、もし君が嫌だって言っても、ここからまた君の部屋まで送るまでは一緒にいられるじゃないか」
ヴェルターの甘い策略にリティアは顔を赤くした。
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