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「融通が利かないって? 」
「それは否定しないわ。でも、相変わらず、素敵ねっていうのはそのままの意味ってこと」
「あはは、君の婚約者には到底及ばないさ」
そうかしら、とリティアは心の中で思う。素敵なのはヴェルターだけじゃないって今から知るところ。
リティアが先ほどここが今最も安全な場所であると言ったのは横にランハートがいること、それと、少し先に騎士が見えたからだ。その騎士に見覚えがあり、向こうも知った顔だとわかるとそこでリティアとランハートが到着するのを待っていた。
「リティア! 随分久しぶりじゃないか! 」
その騎士はリティアが到着するのを待ちきれんとばかりに声を掛けてきた。んんっとランハートが咳払いをする。その騎士、レオン・フリューリングは肩をすくめておどけて見せると礼を尽くした。
「レディ・リティア。ご挨拶申し上げます」
リティアもそれに倣い形式ばった挨拶を交わした。これで満足かとランハートに視線を送るレオンに、ランハートは満足そうに頷いた。それが確認できると、レオンは相好を崩した。
「許してくれよ久々の友との再会なんだ」
「……場所を考えろ」
じろり、ランハートがレオンを睨むが、それに省する様子もなくレオンは白い歯を見せて笑った。
「で、いつからランがリティアの護衛騎士に? 」
レオンはさっそく軽口をたたく。
「何だ、俺じゃ役不足だと言いたいのか? 」
「はは、文官でもお前ほど腕の立つ奴はいないだろう」
一見真逆の二人だが、気の置けない友人なのだ。
「で、リティは? 逢瀬? 」
改めて見ると、ランハートもレオンもとても素敵な人だ。リティアは二人が仲良く言い合う姿に見とれてしまっていて、レオンの問いにすぐに応えられなかった。
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