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ランハートがガンッとレオンの脛を蹴り、レオンはぐっと息を詰めた。きょろきょろと青い瞳を探るように動かし周りに誰もいないことを確認すると息を吐いた。チッとランハートが咎めるように舌打ちをする。リティアは二人のやり取りにくすくす笑った。
「ヴェルターとリティアの関係にうまくいくも何もないだろう」
ランハートが声を低くして最もなことを言う。それはそうだ。二人は恋人ではなく王国の大人たちが対外的に判断し、決めた婚約者なのだから。でも、とレオンは反論したが、リティアもランハートに同意した。
「ええ、そんなことはないわよ、レオン。彼とはちゃんと定期的に会ってるわ」
「ということは……」
レオンは分析するように顎に手を当てて考えている。そして、ぱっと気が付いたように綺麗な瞳をリティアに向けた。
「ヴェルターは変わらずリティに会いに行ってるのに、リティはそうじゃないってことだ! 」
「……レオ! 」
ランハートが制止し、レオンはわかったよと肩をすくめた。
「ま、何かあるなら男女の事はランより俺に相談すべきだね」
「まだ、何も言ってないだろ、憶測で口を開くな」
「何だよ、ラン。お前も引く手あまただってのに誰にもなびかないと俺の耳にまで届いてるぞ? 」
「お前が軽薄すぎるんだ」
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