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叔父上はそう言うが、油断はせずにいよう。
「うーん、ヴェヴェ、君はほんっとに兄上に似ているな。考えすぎる所がある。私は君をここへ呼んだのは息抜きしろって意味でもあるぞ」
ヴェルターはアデルモが部下たちの前で幼少期のあだ名で呼んだことを目で諫めながらもアデルモの言葉にはありがたく思っていた。ただ、隣国の王女と会う今日が息抜きの場になるはずはないと反論する。
「叔父上、お気持ちは有難いのですが」
うん、とアデルモは頷く。
「では、聞こう。ヴェルター、君は隣国のアン=ソフィ・ラゥルウント陛下について知っていることは? 」
ヴェルターの頭の中を彼女の良くない噂が巡る。ヴェルターは噂の域を出ない事柄をすぐに口に出すほど浅はかではなかった。熟考し、答える。
「若き女王であること。それ以外は知りません」
「うん。そうだな。王政が変わったところだ。前々国王の時世まで鎖国状態だったし、未だ至極保守的な国だからな。さて、俺の可愛い甥っ子よ。彼女はどんな人物だと聞いている? 」
アデルモは屈託ない叔父の笑顔をヴェルターに向けた。ヴェルターは、アデルモには敵わないなとただの甥っ子になることにした。
「暴力的で、感情的な暴君だと。王城ではいつも怒声や悲鳴が絶えず、王家が人身売買を斡旋していると。あと、これは……」
甥に戻っても言いづらいほどバカげた噂も正直に付け加えた。
「魔法、魔術の類のものを使う……と」
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