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「頭脳に身分は関係ないが、学べる環境には大きく隔たりがある。それを解消するのが目的です」
「結局、貴族でも平民でもいい奴はいい奴だし、いけ好かないやつは身分問わずにいるということです」
マルティンが当時を思い出すように口を挟んだ。アンはそれをおかしそうに肩を揺らした。
「ええ、マルティン、本当にそうだと思います。ですからぜひその子供たちの様子を見せて下さい。もう一つ、幸いフリデンのお陰で我が国も潤ってまいりました。自分たちの産業が外国人にとって価値があるということも。……それもこれも、わが国を開いてくれた御国のおかげです。そこで、こちらから悪くない提案をしたいと思います。これはまだ公にはしていないのですが」
アンはここで声を潜めた。
「実は、新しい財源になるであろう鉱山が発見されまして」
アンはにやりと笑った。ヴェルターをはじめ、その場にいたものは凍りついた。かつて大混乱を招いたほどの金脈である鉱山が見つかったという情報を他国に漏らしていいのだろうか。
「取引を、したいと思っています」
アンがそう言うとさっきまでの和やかな雰囲気は一変した。
「取引というと、もはや私では対応出来ないのでは」
ヴェルターは非公式の場で取引というアンの言葉を訝しむ。
「いえ、あなただから出来るのです」
「それは、一体……」
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