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ヴェルターがリティアの元へ訪問する日だった。オリブリュス公爵邸、リティアの部屋にはミリーが早くから取り仕切っていた。
「お嬢様、今日は王太子様は長旅でお疲れでしょうからゆっくりお寛ぎいただくために、お嬢様のお部屋にお通ししてはどうでしょう」
リティアはヴェルターが帰国してすでに日が経っていることは知っていたが特に反論することなくミリーの意見を受け入れた。諦めとも言う。リティアは特別華美ではないいつも通りのリティアらしいドレスで着飾ると、間もなくヴェルターがやってきた。
ヴェルターがいつものようにまばゆい容姿で、登場すると見慣れたリティアでも見とれてしまう。ぼうっとするリティアにヴェルターは柔らかい微笑みを向けた。
「やぁ、時間が空いて申し訳なかったね」
「いいえ、大変だったでしょう? 」
「いや、そんなこともないさ」
リティアはマルティンとヴェルターの言葉からこの旅が有意義であったことを悟った。ヴェルターは疲れていてもそれを表には出さない。でも、今のこれは本心だろう。そう思うと旅の話を聞いてみたくなった。特に、アン女王と何かあったのではということを。リティアはどう切り出そうかと思ったが、心配なかった。ヴェルターから話が出たのだ。
「リティ、アン女王から贈り物を預かってるんだ」
「まぁ、贈り物。私に? 」
ヴェルターから渡された箱からは美しいドレスが出てきた。持ち上げると生地がさらりと流れる。
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