は?魅惑のプリン、見つかんないし!

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は?魅惑のプリン、見つかんないし!

「お嬢様、どこに行くのですか?」  私がせっせと支度をしていると、ユイがやって来た。  ユイは、お父さんが作った高知能人型AIだ。  ただ、感情がある。  なぜか。私と生活しているうちに感情が芽生えたのかもしれない。 「〝魅惑のプリン〟ってやつを探しに行くのよ!なんかよくわかんないけど…」 「〝魅惑のプリン〟とは?」 「それがわからないから探しに行くんでしょ!ほら、ユイも早く準備してよ!」 「調べた結果、〝魅惑のプリン〟は謎を解かないと食べることのできないプリンだそう。ただ、その味がまるで夢のように美味しかったから〝魅惑のプリン〟と呼ばれているそうです」  ユイは、体内にはめ込まれている自動検索機で調べたみたいだ。 「…わかるなら最初から聞かないでよ!」 「はい、今準備しますから」  ユイはそう言って、どこかに行ってしまった。  まず着いたのは、近所のコンビニ。  ここは、私が知ってる中で一番品揃えがいい店舗だった。  私はレジ打ちをしていない方の店員に聞いてみることにした。 「あの、すみません…」 「あら、どうしましたか?」  とても感じのいい、女性店員だった。 「〝魅惑のプリン〟という商品を取り扱ってはいないでしょうか?」  すると店員は、少し動揺した顔を見せた。 「申し訳ありません。当店にそのような商品はございません」 「あ…そうですか…」  私は肩を落としてガックリと項垂れた。 「あら、お嬢様。〝魅惑のプリン〟はありましたか?」  ユイはコンビニの新作プリン片手に言った。 「それが…なかったのよ、〝魅惑のプリン〟」  するとユイは、私よりもガッカリしたように肩を落とした。 「…そうですか。せっかく私の日々の謎解きトレーニングの成果を発揮できると思ったんですが。仕方ないですね、次の店に行きましょう」  私はユイに手を引かれて店を出た。  次に来たのは、近所のスーパー。  私はまたしても、店員に聞いてみた。  けど、帰ってきた返事は同じ。 「すみません…そのような商品は…」  私はまたしても店を出た。  次に来たのは近くのデパート。  〝魅惑のプリン〟がもしも高級品だった場合を考えて、デパートに来てみたんだ。  でも。 「すみません…ありませんでした」  …ない。  それからも手当り次第にいろいろな店を見てみたけど、〝魅惑のプリン〟は存在しなかった。  ただ、どの店員も何かを隠そうとしているように見えたのが引っかかった。 「はあ。ないじゃん、、、」  何が〝魅惑のプリン〟だよ。
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