1人が本棚に入れています
本棚に追加
『プリンの妖精』⁈ふざけてんの⁈
冷たい冬の風が、私の首にまとわりついてくる。
「お嬢様、もう帰りましょう。このままでは、風邪をひいてしまいますよ」
…もう、諦めた方がいいのかな、、、、。
「うん…帰ろう」
諦めかけた、その時。
「あら、もう終わりですか。もう少し探せば、見つかるかもしれないんですけどね!」
まずいガムが歯に挟まったみたいな気分になるようなイヤな女性の声が、私の身に降りかかった。
「誰⁈」
「あらあら。八つ当たりですか?醜いですねぇ」
なんなのコイツ!ムカつくんですけど!
しかも、なんか怪しいフードをかぶってる…みるからに胡散臭い…
「まあ、いいでしょう。僕の名前はミール。プリンのーーーー妖精、ってとこですかね」
「は⁈妖精って何よ!」
コイツふざけてんのか、マジで。
こっちは本気になって探してんのにさー⁈
バカにされてるみたいで悔しいっ!
しかもコイツどうみても女なのに『僕』とか言っちゃってさ!なめてんのか!って言いたくなる!
「あなたたちが今探している、〝魅惑のプリン〟の所有者です」
…は⁈
よりにもよってコイツが所有者⁈
「なんであんたなのよっ⁈」
「なんでって…僕が作ったプリンだからに決まっているではないですか。何を言っているんですかね。」
ぐぬぬぬぬぬ…
私は悔しさで唇を噛んだ。
「お願いします。お嬢様は、立派なプリン職人になりたいだけなんです!だから、その〝魅惑のプリン〟とやらを食べさせてもらえませんでしょうか⁈」
突然、横から必死そうな声が聞こえた。
…ユイだ。
挙げ句の果てには、土下座の態勢になっている。
「お嬢様は、プリンがとにかく大好きなんです!その情熱とやる気に満ちた瞳といったら…感情のない私まで心を動かされてしまいましたよ!お願いします!お嬢様の頼み、聞いてくださいませ!」
…なんか恥ずかしい。
ユイってそんなキャラだったっけ⁈
…まあいい。
褒められてやる気出たし!
「プリン職人…なるほどねぇ…」
私はごくんと唾を飲み込む。
「なかなか面白そうではないですか。いいでしょう。あなたに〝魅惑のプリン〟を食べるためのテストを受ける資格をあげましょう」
やった!
テストって…やっぱりあの謎解きのことだよね。
よし、頑張るわよ!
「…っていうか、あなた何者なの?」
私はずぅーっと気になっていた疑問を吐き出した。
「ちょっと、フード脱ぎなさいよ!」
私は変なやつ改めミールのフードをヒョイっと後ろにやった。
「え……⁈」
そこにいたのは、フリル付きの服を着た、美少女だった。
「よ、余計ムカつくんですけどーっ!」
やっぱりフード、かぶせときゃよかった。
最初のコメントを投稿しよう!