謎解き?楽勝っすけど?

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謎解き?楽勝っすけど?

「…ここが、僕の研究所ですよ」  そう言ってミールが指を刺した先には…何もなかった。 「はぁ?ここが研究所⁈なんもないじゃん!」 「いいえ。ちゃんとありますよ。見ていてください」  ミールの手には、謎の鐘があった。  ミールがリモコンの鐘を鳴らすと、不思議な鐘の音が鳴り響いた。  シャララララーン……。    次に聞こえたのは、爆発音。    ボフッ!    その瞬間、見えている景色が霞んで見えた。  でも次の瞬間には奇妙な霧はなくなって、しっかりと景色が見えるようになった。  …のはいいものの。 「…ここ、どこ…⁈」  そこに広がっていたのは、まるで遊園地のような景色だった。  でも、遊園地ではなかった。  だって、目の前に広がっていたのはまるで夢の国!  いや、正しくはお菓子の国かもしれない。  長い川はチョコレートでできていて、並木道に並ぶ木はどれもクリスマスに見かける赤と白のキャンディーと、三角のころっとしたグミでできている。遠くに見える山は…メロンのシロップがかかったかき氷だった。  そして、近くには大きなプリンが⁈ 「プ、プリン⁈」  私は大好物を目の前にして挙動不審になってしまった。 「あれは、プリンではありません。たしかにプリンの形をしていますけれど、食料反応がありません。これはプリンの形をした建物、つまりこれがミールさんの研究所だと考えられます」  え⁈プリンが研究所⁈ 「正解です。あなたは、なかなか頭の回転が早いですね」 「いえいえ。それほどでも…」  褒められるのに慣れていないユイは、なんだかモジモジしていて恥ずかしそう。 「…そちらのお嬢様とは違って」 「は?」  余計な一言!  遠回しに「バカ」って言ってるようなものでしょ⁈  マジでムカつく。許されるのならコイツの顔面に生卵爆弾を投げつけてやりたいとこだわ…まあ、食べ物が無駄になるからしないけど! 「時間を無駄にするのは嫌いなんでね。早く行きましょう」  もう!なんなのコイツ! 「さあ、入ってください。ほら、椅子に座って」  ミールに誘導されて椅子に座ると、目の前の大型パネルに何かが映し出された。 「今から2人に、三つの謎を解いてもらいます。全て解けたら、第一段階クリアです」 「ふーん。で、この映像は何?」  パネルに映し出されていたのは、謎の茶色い液体の映像。そして気味が悪いことに、液体の表面には、細身の人間の手が浮いていた。 「ひっ…気味悪っ」 「さあ、問題です。これは、チョコレートの沼。どうやら沼にハマってしまったようですね。さあ、彼女が沼にハマってしまった理由を考えてみてください」  は?  むずすぎない?  助けを求めるようにユイを見た。 「はい。位置情報で検索すると、この沼は崖の下にある沼だとのこと。そして、この近くにはいたずら好きの子供が住んでいるといいます。そしてこの彼女は気弱な女性。何度もいたずらの被害にあっています。なので、彼女は子供に突き落とされたと考えられます」  さすがユイ! 「さすが、AIですね。正解です」  よかった〜! 「でも、少し簡単すぎましたね。次の問題です」  パネルからチョコ沼の映像が消え、かわりに欠けたグミの木の画像が映し出された。 「このグミの木は、欠けていますね。誰かに食べられたわけではありません。さて、どうしてかけてしまったのでしょうか?」  これなら私、わかるかも! 「これは、天気の問題。今日はとても風が強い。おまけに、今日は雨も降っていた。風でコーティング用の砂糖が取れてしまうと考える。砂糖がなくなったグミは少し柔らかくなる。その上に雨が降り、もっと柔らかくなったグミを、さらに強い風が吹いて、グミがかけてしまった、というわけね!」  私は得意げに話してみせた。 「ふうん。なかなかやりますね。では最終問題です。スイーツが持つ力は?」  え?  スイーツが持つ、力?  私は少し考えた末、言った。 「スイーツを食べると、キラキラした夢見たいな気持ちになれて、作る人も、自分が夢を作っている気分になれる。そこで食べた人が作った人に『美味しい』っていうと、2人がスイーツで繋がる…ってところ、かな?」  謎解きじゃないけど…これが私のベストアンサーだった。 「ふむ…正解です。全問正解したのはあなたたちだけですよ」    よっしゃあー!  なんかよくわかんないけど、クリアできてよかった!
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