ラピスラズリ

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ラピスラズリ

アルバイト先のセレクトショップで、ある腕時計に魅せられた。 まだ、それが、天然石を使って出来ている時計だとは知らずに、、、 夜空のような青い石。 石の中にキラキラした光が見えたのが、忘れられない、、、 毎日、眺めていた。 その様子を見ていた、店長さんが、「あんまり見ていると、穴が開くよ〜、、、」と、にっこり笑っていた。 時計をつけてから、なんだか、勇気が湧いてきたことは忘れない、、、 が、その時は、そんな気がしていただけで、欲しかったものが手に入ったからなのかもしれない。 その女(ひと)が、その時計と、、、その頃、大失恋した時の話をしてくれた。 その時計を買った時は、ラピスラズリの石言葉など知らず、後から、大失恋したのは、この石のせいかもしれないとさえ思ったことがあったと、、、。 しばらくして、日本にも天然石ブームがやって来た。 こんなに沢山の石があるんだと、、、天然石、鉱物、パワーストーン、色んな呼ばれ方をしていた。 少し前までは、知らなかった、石言葉、、、誕生石は興味のあるなしに関わらず、誰しも聞いたことはあると思う。 国によって、微妙に石や石言葉が違う。アメリカで決められ、日本でアレンジされたもの‥‥ ‥‥誕生石は、旧約聖書の中に登場する12のユダヤ人部族の象徴であり、高僧が身につける12の石であり、 新約聖書の中では、ヨハネの黙示録の中で記述されているが、神の国に建てられる城壁の土台部分に12の石が飾られていると、、、 この12の石をまとめたのが、アメリカで決められた誕生石と石言葉。 諸説ある中で、もう一つは、占星術の12星座。 12星座のそれぞれの象徴とされる石が、各月の誕生石として伝承されたとか、、、 誰が何を決めたにしろ、ロマンやスピリチュアル的なものを感じながら、天然石たちに魅せられた1人として、 知り得た、それぞれの天然石との物語や、共に寄り添える石を贈りたいと思った‥‥‥ ‥‥‥それを、私は、Crystal Relayer(クリスタル リレイヤー)と名づけ、自分の職業だと決めた。 彼女も、しばらくして、石言葉を知った。 『ラピスラズリ』‥‥「真実」 「崇高」 「幸運」 遠い昔から、薬や錬金術にも使用されていたラピスラズリには、健康という石言葉もある。 彼女は云った、、、「あの時は、試練だったが、年月が経って、人として成長させてもらったんだと、ハッキリわかった」 と、清々しい笑顔で、 私の目を真っ直ぐ見て話してくれた、、、。 「成功の保証」という石言葉もあって、これは、ラピスラズリが、持ち主に試練を与え成長させる石だという考えからきている。 持ち主にとって、本当の幸せに向けて、試練を乗り越えるという形で運んでくる力を秘めている。 自身の魂を磨いて高めることができるのは、この先の幸運アップにつながっていくのかもしれないと、、、 それから、何年もの歳月が過ぎ、出逢うべくして出逢った人と、結婚した後に、また、ラピスラズリとの出逢いもあって、 昔、大失恋した時、あらゆる真実を突きつけられたことに、目を背けた若い自分が、ラピスラズリのせいにした事を恥じたと聞かせてくれた。 それから、ラピスラズリの石を愛おしく思っていると話してくれた彼女には、やはり、ラピスラズリに寄り添ってもらうことにした。 彼女も、満面の笑顔で承諾された。 肖像画と共に、ラピスラズリと、彼女が当時、Top☆s(トップス)の紅茶ケーキにハマっていた話を聞かせて頂いたので、 ベルガモットの香りを選んでみた。 〝夜空に、またたく星を眺めながら、ワインではなく、今宵は紅茶とケーキで、アールグレイの香りに癒されながら‥‥‥“ 不思議なことだが、好みや、石言葉で天然石を選んだとして、全く、必要ない時には、違う天然石が顔を出して、こっちだよ‼︎ と 手招きをしてくれるから、楽しいのだ‥‥ 天然石は生きている、、、そして、いつも側で見護ってくれている。
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