186人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
だって、妻の尻に敷かれるってかなり屈辱的なことじゃないの?
「そんなもの、あなたがべた惚れにしてしまえばいいのよ」
「……普通に考えて、無理だわ」
べた惚れにして骨抜きになんて出来るわけがない。だって、この私よ?
(髪の毛は手入れなんて最低限だし、肌は日に焼けてる。令嬢らしいことはなに一つとして得意じゃないのよ……)
対するリリーは、髪の毛は手入れが行き届いていてつやつや。緩くウェーブのかかった桃色の髪は、愛らしさを醸し出している。色白で、肌はきめ細やか。
……本当、双子なのが嘘みたいな違いだ。
(いや、これは私が手入れを怠ったのが悪いのか)
うん、納得。ここばかりは、仕方がない。
「いい? あなたはこの家の存続を一身に担っているの。……それがわかったら、大人しくパーティーに参加しなさい」
「……はい」
もう、本当になにも返せなかった。
だって、リリーは正論を言っているのだもの。
(それをあぁだこうだって言っているのは、私。……この場合、リリーが正しいわ)
この妹は、はっきりと正論をぶつけてくる。その所為なのか、私は彼女に口で勝てたためしがない。
「じゃあ、そういうことだから。……パーティー自体は二週間後。けど、その前日にはこっちに戻ってくるのよ」
「……はい」
これじゃあどっちが姉なのかわからないじゃないか。
そう思ったけれど、リリーのほうが私よりもずっとしっかりとしているから、仕方がない。
それくらい、ずっと昔から知っているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!