第1章

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 なので、ライナー先輩のことを後輩たちはみんな頼りにしていた。 (かといって、ライナー先輩のほかは……うん)  ライナー先輩の同期は、ほとんどが男尊女卑の考えを持つ人ばかり。その所為なのか、女騎士には当たりがとにかくきつい。  しかも、私は可愛げのない生意気な性格からか、目をつけられている。 (そんな人たちにドレス姿なんて見られたら、たまったもんじゃないわ。……似合わないってからかわれるのは間違いないもの)  考えるだけで腹立たしいけれど、実際私にフリフリのドレスは似合わない。デビュタントのときにドレスを着たときなんて、同年代の男の子たちからどれだけ腹立たしい視線を向けられたことか……。 「もう! うじうじ言っていないで! さっさと覚悟を決めなさい!」  私の言葉にしびれを切らしたのか、リリーは私に対抗するみたいにバンっとテーブルをたたいた。  からんと音を立ててぶつかるティーセット。側に控えるリリーの専属侍女が、姉妹喧嘩を見てため息をついていた。 「そんなこと言っていても、なにも解決しないのよ!」 「……そ、れは」 「あなたは婿を迎えてこの家を継ぐ! それは、ずっと昔からの決定事項よ!」  ……なにも、返せない。  だって、この家には子供が私とリリーしかいない。そして、基本的に男児がいない場合は長女が婿を取って家を継ぐというのが習わしだ。  つまり、私はなにがなんでも婿を取る必要があって……。 「わ、私とリリーは双子よ? どっちでもいいじゃない!」 「生憎だけれど、私の婚約者は嫡男なの!」  ……忘れてた。そうだ。そうだった。 (リリーは嫁入りするんだったぁ……!)  逃げ道がない。これが、異国の言葉でいう四面楚歌状態なのだろう。 「アルスくらいしっかりとしていたら、同年代か年下がいいと思うわ。尻に敷かれてくれるくらいの人が、いいと思うのよ」 「……そんな人、いるの?」  リリーの言葉に素直な疑問を抱く。
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