消せる後悔、消せない後悔

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5月になり、だんだん暑くなって涼しい服を欲しくなったのだ。 (水色のワンピースとか欲しいなぁ......) 「美夢(みゆ)ー!! 帰るのー?!」 聞き慣れた声が後ろから聞こえて私は振り返ると、子犬のように小さい歩幅で走ってくる女性がいた。 「今から服買いに行くのー!! 美希(みき)はこれから講義ー?!」 肘まで長い美希の髪は左右に揺れ、黒くて真っ直ぐで艶がある綺麗な髪は、光をキラキラと反射させて私の前で止まった。 「ううんっ! もう大学終わったの! 私もついて行っていい? 可愛いベレー帽欲しいの!」 「いいよっ! 行こっ!」 美希は仲の良い友達だ。断る理由はないし、1人より2人のほうがショッピングは楽しいのだからついてきてくれて嬉しい。 「──そういえば、どんな服買うの?」 電車の座席に座る私達。 揺れる度に美希の綺麗な髪も揺れて、海の波のように美しく波打っていた。 「ワンピースかなぁ......暑くなってきたから水色とか」 すると美希は一瞬私の目を見て固まり、それから小鳥のさえずりような小さく小刻みに笑い始める──。 「えっなに?! 似合わなそうっ??」 美希の反応に私は不安になり前屈み担って問いただす。 「ごめんっちがくてっ......! ただこんなに可愛いキャラメル色のボブヘアーでオシャレさんの美夢が、高校生の時めちゃくちゃ適当なポニーテールだった頃を思い出しちゃって──」 5ec02588-2a50-41a7-875a-2587550fc08e
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