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「しょうがないじゃーん! 彼氏ができるとファッションにうるさくなるのですっ!」
(彼氏......)
もし......晴翔と付き合っていたら私もこんな感じになっていたのだろうか。付き合えたら美希みたいに幸せそうな顔をしてショッピングできたのだろうか。
(晴翔......会いたいなぁ)
コーヒーに映るお店の照明ランプを見つめる私。
「──まだ片思いしてるの?」
「......えっ?!」
美希に心を読まれたのかと一瞬驚きで体が跳ねる。手に持っていたコーヒーをこぼしてしまいそうになって焦る私に、美希は少し笑いながら続ける。
「カッコよかったもんねー。水泳部でさ筋肉質で身長も高くて優しくて、でも恥ずかしがり屋なところがギャップ萌えだったよねー。幼馴染だったんでしょ?」
「うん......幼稚園からのね。でも高校卒業してそれっきりだよ......」
晴翔は神奈川の大学に進学したらしいと別の友達から聞いた。行こうと思えば行けるが──。
「今更会っても何話していいかわかんないよ」
美希がコーヒーの味変に砂糖とミルクを入れてスプーンでかき混ぜる。
「──高校生の時はさ、2人の会話に理由なんてなかった気がするけどね。意味もなく中身もない会話で楽しそうに話してたじゃん」
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