穢れる ―四月―

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一気にまくし立てられ、身体に残った気だるさが吹き飛んでゆく。 それと引きかえに、自身を襲うたまらない罪悪感に、吐き気を覚えた。 「ちょっ……尚斗? 具合でも悪いの──う、あんた酒くさ──待った。洗面所行こ、洗面所」 つめこんだアルコールは、空っぽの胃袋に、相当に堪えたらしい。 オレは、胃液とアルコールが入り混じった匂いが鼻につくなか、西崎の残した言葉の重さに、涙が、出た。 それは、明らかに西崎を思いやる気持ちよりも、自分の犯した罪が自身を縛る、その苦さを感じたからで。 オレは本当に、自分で自分に、絶望した──。
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