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「全部あの人にバラしてやるから! あの日のこと……ナオくんが、あたしにしたこと、全部っ……!」
「好きにしろよ」
──ああ、ホント、面倒だな。コイツ、一体なんなんだ。
「どうしてっ。どうしてあたしじゃダメなのっ? 神田先輩とはまだなんでしょ? だったら……」
「悪いけど、オレ、お前のこと好きになれない」
「そんな……そんなの、ヒドいよ! じゃあ、どうしてあの時、あたしとシたのっ……?」
泣き叫ぶ西崎の姿を見ても、彼女を哀れに思える自分さえ、どこにもいないことに、気づく。
……姉ちゃんの言った通りだ。
男と女じゃ、セックスに対する位置づけが、こんなにも違うんだ。
──けれども。
冷めた思いで西崎を見ながら、一方で叫びだしたいくらいの居心地の悪さが胸にせり上がってきて──吐き気がした。
……………瑤子さんに、会いたいな。
こんな自分、早く全部、無くしてしまいたい。
『綺麗なモノ』に触れれば禊が行われるだなんて。
オレは、どんな身勝手な迷信を、創ろうとしているんだろう?
時折、瑤子さんが見せる不安げで物言いたげな表情を、いつまで『見ないふり』していられるんだろう?
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