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再会 ―六月―
「お前、西崎と付き合ってんの?」
放課後。
入部したての頃の新入部員の数が大幅に減ってきたサッカー部の練習は、それでも構わずに、日々のメニューをこなしていた。
その日もオレは、たまたま休みだった内藤の代わりに、やっぱりいつもの相手がいなかった今中と組み、パス練習をしていた。
ニヤニヤと笑う締まりのない顔をにらみつけ、オレは答えた。
「……ただの幼なじみだよ」
「ただの、ねぇ」
語尾をあげた言い回しは、からかいを含んでいる。
練習中に、女の話を好んでするような奴くらいしか残ってなかったのは、ツイてなかったとしか、言いようがない。
「マネージャーとそういうの、まずいんじゃないのかなーと思ってさ。ま、バレないように」
「付き合ってねーよっ」
覆いかぶせるように否定する。
そんなオレの様子に驚いたらしく今中は口を閉ざした。ややして、執り繕うように声をかけてくる。
「……んな、怒んなって。
西崎の態度がさ、そーいう感じがしたから聞いてみただけで。けど、あいつは『ただの』とは、思ってなさそうじゃん」
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