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女かと思うような声質と、半袖からのぞく細くて白い腕。
顔立ちは、どう見ても女なのに、オレと同じ男子生徒の制服を着ている。
上履きから見て、二年生らしい。
「そう、ですか。どうも……ありがとうございます」
ぎこちなく礼を言ってから脇をすり抜けかけた時、その人が小さく笑ったような気がした。
───でも、君には刺激が強いかもね───。
そんな独りごとと共に。
いぶかしく思いながら、美術室へ小走りに向かう。
キャプテンのあの様子じゃ、これ以上の遅れは、オレに対しても怒りの矛先が向かうかもしれない、と思いながら。美術室の後ろ扉の小さな窓ガラスから、室内が窺えた。
誰も、いない。
そう判断しかけたオレの視線の対角線上にあたる窓際。そこに置かれた絵に、人の頭が重なった。
いた……!
やっと見つけた斎藤先輩らしき姿に、はっきり見えるだろう前の扉へと駆け寄り、勢いよく開けた。
「あっ……」
目に入ったのは、女生徒の上に覆いかぶさっている、斎藤先輩だった。瞬時に、自分がまずい場面に踏みこんでしまったことに気づく。
けれども目だけはしっかりと、乱れたスカートによって露わになった、白くてやわらかそうな、ふくらはぎから太ももにかけてのラインを追いかけていた。
「関谷……」
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