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図書館の外に出てスマートフォンをもう一度確認する。かがりと共有しているアプリを開く。
かがりは今、第二体育館にいる。
かがりの脈拍と位置情報を確認する。
ウエアラブル端末をかがりに着けさせている。
よく装着し忘れるので、毎日俺が、手首に着けてあげる。ラベンダー色のバンドはかがりによく似合っている。
かがりは俺に管理されて拒否するそぶりもない。
かがりの胸を思い浮かべる。
小さめの固い乳房。その下の心臓。
かがりの心拍を、その波形を、確認すると安堵と共に胸苦しくなる。
生きている身体を、踊るためにしなる背骨を、首筋に浮かぶ汗を思って、胸苦しくなる。
身体も心も全部欲しい。
俺は狂いかけてる。おかしいのは分かっている。
手に入れたも同然のものを、握りつぶして窒息させてしまったら、何の意味もない。
そのことは分かっているのに。
かがりが生きていることがこんなにも愛おしいのに。
生きているかがりはこんなにも俺を苦しめる。
ユキの目を脳裏に再生する。
崇めるように俺を見つめる目を。
ユキの目の中に、俺自身が映っていた。
深い呼吸を。
息を吐いて、三秒止める。
息は吐かないと吸えない。
ユキの目を再生しながら呼吸する。
新たな酸素を取り込む必要がある。
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