3.十八才 大学一年生 春から夏

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 ずっと側にいるよ、とかがりに告げた。  保健センターの白いベッドサイドで、献身的にかがりの手を握りながら、かがりに告げた。 「ずっとかがりの側から離れない。かがりをいつも見付ける。卒業したら結婚して欲しい。俺を信じて欲しい」  好きだとも付き合って下さいとも言い出せなかったくせに、この時はすらすらと言葉が出た。  俺は謝りもしなかった。  自分がやったことから目を背けた。  保健センターの医師の前で、聖人のような顔を演じていた。  かがりは熱に浮かされた脳で、かくかくとうなづいた。  かがりが欲しい言葉を与えたんだということは分かった。  この先、かがりは俺から離れられないだろう、というほの暗い予感もあった。  保健センターの医師は年配の女医だった。  皺のない白衣を着て、かがりの脈を取りながら穏やかに微笑んでいた。彼女の視線はかがりの緊張を和らげた。  観客がいる前で、俺がどんなに優しくなれるか、かがりは理解した。  口に出して確かめられない行為が、かがりと俺を結びつけた。  言葉無しでわかり合えることと、言葉に出来ないこととは、違う。
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