4.十九才 大学二年生 初夏

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 ユキの顔を思い浮かべる。  図書館で、俺に会えて心底嬉しそうな顔をしていた。  好きな女がやらせてくれないのだと頼み込んだら、ユキは突っ込ませてくれるんだろうか。  無理矢理に犯しても、俺のことを綺麗だの素敵だの言い続けるんだろうか。  男が相手なら浮気にもならない。  受け入れて欲しい。俺を眠らせて欲しい。  最低だ、と自分でも思う。  なぜユキのような人間でいられないのだろう。  部屋の中で衣擦れの音がした。かがりの細い悲鳴。  居室から台所に繋がるちゃちな扉が恐る恐る開かれる。  ショートパンツから伸びたしなやかな脚。美しい足の甲。かがりが俺を認めて抱きついてくる。 「起きたら、ひとりだったの」  大丈夫だよ、とかがりを抱きしめる。  大丈夫、どこにも行かない。  かがりの髪の手触りは俺を夢中にさせる。髪の中の耳を探し出して口付ける。大丈夫だよ。  かがりはひとりぼっちにさせられるのを怖がる。異常なぐらい怖がる。特に暗いところが苦手だ。  だから、かがりは俺から離れられない。  ユキのようになれたらいいのに。  素直に素朴に、好きなんだとかがりに伝えることが出来たらよかったのに。
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