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ユキの目が見開かれて、潤んでいるように見える。
宝物を見付けたみたいな目で俺を見る。
自分が何を求めていたのか、はっきりした。
承認欲求ばかりの人間は大嫌いだ。努力もせず甘えているように見える。
俺は立ち上がる。ユキに微笑む。
ユキは口を開け、また閉じた。
ユキのまわりだけ酸素が薄くなったみたいな反応。
承認欲求にまみれているのは自分。
認められたいのに、認められない。
認められたいフィールドで認められない。
何かが足りない。でも甘えたくなんかない。
欲しいのは、俺のことを酸素みたいに求めてくれる存在。
俺が俺だというだけで、見つめてくれる目。
俺は右手を自分の胸の前に上げる。
その席で待っていろと、目と手でユキに合図する。
右手をさらに上げる。目線まで上げる。人差し指で狙いを定める。
「ユキ」
唇だけを動かす。
ユキがわずかに首をかしげる。
せわしなくまばたきする。
ユキは、俺の一挙手一投足を待っている。
「ユキ。待っていろ」
掲げた右手の人差し指で狙いを定める。
待っていろ。
ユキを撃ち抜いてやる。ユキの視線を独占してやる。
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