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ユキの右手を導く。
布地越しにユキの指が俺の形をなぞる。
壊れ物に触るようにそっと撫でられる。血液がそこに流れ込む音がする。
白く長い指が、かがりの下肢に触れるとき。かがりがユキの愛撫で開いていくとき。
この指ならばかがりを愛せるのかと嫉妬した。
かがりの愛液をすくいとる指先を、切り落としてしまいたいとさえ思った。
あれは、切り落として自分のものにしたかったのだろうか。
ジャージの中にユキの手を入れさせる。
ユキの冷たい指先が熱を持った自分の性器に触れる。
裏筋を下から上に撫で上げてくるのはきっと中指。
待ち望んでいたものを与えられて、思わず息が漏れる。
ユキの顔。
どこか不安げに俺の反応を見ている。
そのまつげに、唇に、自分の欲望ををぶちまけて、ぶっかけてしまいたいと思う。
ユキはきっと受け止めてくれる。
むしろ恍惚とした表情をするのではないかとさえ思う。
かがりには持つことが許されない願望を、ユキは満たしてくれる。
ユキを引っ張って立たせ、浴室へ連れて行く。服を脱ぐときにユキは恥じらう。
男同士なのに。
先に脱げと言うと、唇をかんでうつむく。
その唇を奪う。
苦しそうな息。ユキの、相変わらず下手くそな遠慮がちなキス。
もどかしさを感じつつも安堵する。
それでいい。
不器用で後退るような、その様子が興奮させる。
ほんとうは欲しいくせに。
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