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謎のクリプト絵巻
「なんですってェ!」
思わず咲耶は驚いて立ち上がった。
「いやいや、それは杞憂だろう」
ボクも反論を試みた。月が落ちて来るなんて絶対にあり得ない話しだ。
「だけどもし、誰かが何らかの力で月を遠隔操縦し地球へ落下させたら、地上は有史以来、初めて壊滅的な被害が起こるだろうな」
なおもハリーは脅すようにジョークを飛ばした。
「なッ、まさか……」
何らかの力で月を遠隔操縦して落下させるなんて。
そんなことが出来るはずはない。
「ふぅん、そうか。わかったわ」
不意に咲耶が納得したようだ。
「えェッ、なにがわかったんですかァ?」
ホクは咲耶に聞き返した。
「4つの『クリプト絵巻』に隠された秘密がわかったわ」
咲耶はブツブツとひとりごとをつぶやいた。
「え、『クリプト絵巻』って?」
なんの事だ。
「フフゥン」
相変わらずハリーは不敵に微笑んだ。
「……」龍宮寺姫香は憮然とした顔で咲耶を睨みつけた。
ヤケに真夏の日差しがまぶしい。
青く澄んだ空にぽっかりと白い月が浮かんで見えた。
なぜか今日は妙に大きく感じる。
ついにこの日、クリプト絵巻の『秘密の一端』が発覚した。
だが、それはほんの『秘密の一端』にしか過ぎない。
未だにボクたちにはなんの事かわからなかった。
そして、それは破滅への序曲でしかなかった。
さらにボクらは、このあと悍しい事件に巻き込まれることになった。
【666】。
令和6年6月6日。
『月が落下して人類は滅びる』
おぞましい予言が唱えられた。
人類滅亡まで、あとわずかに迫っていた。
つづく
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