第1章 条件はそれ?

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社会人になって一年経った頃、お見合いすることになった。 生まれて初めてのお見合いは母が断りきれずに渋々受けたものだ。 紹介してくれた親戚の叔母さんの熱心な勧めは相手の出身校と勤務先。 確かにそれらの経歴は特段取り柄のない平凡な私にとっては良い条件なのかもしれない。 Mr.Aは私と同郷で二人とも都内在住ということもあり、私から当人同士だけで会うことをお願いした。 初お見合いとはいえ、わざわざ仲立ちの人が新幹線で上京するというのは気が引けた。 写真を見てピンとくるものがなかったのが本音で、断りにくいかもしれないと思ったのだ。 週末の土曜日、午前九時四十五分。 指定された待ち合わせ場所に到着。 そこは都内某所の四つ星ホテルのロビーラウンジ。
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