第1章 条件はそれ?

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気が()いてきた。 真向かいのMr.Aはこちらを無表情でジーッと見ている。 目のやりどころに困ってテーブルのコーヒーカップを見ていると、Mr.Aが静かに質問した。 「帰省はしてますか?」 「はい。年に何度か」 「そうですか」 再び、会話は途切れた。 初対面だし、ましてや結婚前提のお見合いなら誰もが相手を意識し過ぎて、スムーズな会話をするのは無理なのかもしれない。 「失礼ですが、真崎(まさき)さんのは何ですか?」 「え?条件?何の条件でしょうか?」 Mr.Aの至極真剣な表情にギクリとした。
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