第1章 条件はそれ?

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もちろん初めて来たため、質素にひとり暮らししている私にはそのエントランスを通り過ぎるだけで緊張してしまう。 『名前を言ってもらえれば、分かるようにしておきます』 そう伝えられていた。 高い天井の下、いくつかのソファセットに何組かのお客さんたちがゆったりと座っている。 外国人もチラホラ見える。 平日の朝夕、激混みの電車通勤をしている日常とあまりにもかけ離れた穏やかな空間。 この日を境に単調な毎日が華やかな日々になっていく? 何も始まっていないのに感じたことのない高揚感に酔いそうになってる。 フーッと小さく息を吐くと、ラウンジ内に緩やかなピアノ曲が流れているのに気づいた。 あら?……そうか、BGMの効果なのね。
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