第6章 サインは出してません!

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「ハハハ、言っておいて恥ずかしい」 奥歯が見えるほど口を大きく開けて笑った。 いやいや、聞いてるこちらが恥ずかしい! イヌカレタ……犬枯れた……ではなく、『射貫かれた』……こちらのこと? 犬が枯れるわけないか……。 「仕事中も貴女の顔が浮かびます」 この時点で何か予期しないことが起こるのかと身構える。 立っているなら一歩下がれるが、動いている車の助手席に座っている今、どうするべきか倍速で考える。 車は見知らぬ土地の見知らぬ道をゆっくりと走っている。 『すみません。車を止めてください』
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