第1章 条件はそれ?

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ここで自分を心の中で正当化してしまう。 私が待つ側なら、新聞など広げて自分を隠すようなことはしない。 読むとしてもスマホであって、目一杯新聞を広げているなんて……。 その時間は相手との約束時間で、幾ら先に座って待っていたとしても、その人がやって来そうな方向を見て待つ。 いきなりボーイさんに連れられてきた本人が目の前に立つ姿を見るよりは、その人物がどんな表情でどんな服装でやって来るかを数メートル前から見たい。 だから、この新聞を広げてた姿に気分はズドーンと沈んだ。 一言も言葉を交わしてないのに、会話の期待値が30%になった。  その人の待ち姿が本当はどうなのかは分からない。 ただ単に、時間潰しに新聞を読んでいたのか、ラウンジに座って辺りを見ながら待つのが耐えられなかったからなのか。 それとも……自分の姿を隠したかったのか。
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