第6章 サインは出してません!

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相手をスッと見た。 こちらの険しい表情に気が付いたのか、掴んだ手をサッと離しておずおずと言った。 「優雅さんとのを大事にします。今日はありがとう」 馴れ馴れしく名前を呼ばれて、さらに不快感が増した。 数分前の出来事をできることなら記憶から消したい。 車内のことをなかったことにしたい。 背中に悪寒が走り、身震いしそうになった。 侮蔑の視線を向けたくなる。 おっと、ここは我慢しないとまだ車内なのだから。 無表情で頭を軽く下げた。
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