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女性の方は20代半ばくらいだろうか? 男性の方は、50代後半といったところだ。 二人の歳はかなり離れているが、 親子ではなさそうだ。 おそらく愛人関係だろう。 陸は相手を見ただけで、大体の事はすぐに分かる。 長年特殊な仕事をしていたので、 自然と鋭い洞察力が身についていた。 特に、今回のように分かり易い状況なら、 女が愛人である事は間違いないだろう。 陸は女性を観察した。 顔は人目を引く華やかなタイプの美人で、 体型もグラマラス。 若干ふっくらし過ぎのようにも思えたが、 もう少し痩せれば、モデルと言っても通用しそうだ。 女性はすました顔をして座っている。 性格はかなり気が強そうなタイプだろう。 陸は今まで、色々なタイプの女性と付き合って来たので、 過去にこんな女がいたなと、当時の事を思い返していた。 そして、次に男性の方をチェックする。 男性は、小太りで猫背気味のパッとしない雰囲気だった。 自分の容姿に劣等感を抱えているタイプだ。 こういう男は、派手な女を連れ回す傾向にある。 自分のコンプレックスを、派手な女をはべらす事によって 解消するタイプだ。 そのパッとしない男が身に着けているスーツや靴は、 かなりの高級品のようだった。 脇に置かれているビジネスバッグは、 オレンジ色に近い茶系のハイブランドの物だった。 左手に着けている時計も、かなり高級そうだった。 その身なりから、男は相当な金を持っているようだ。 おそらく会社経営者か何かだろう。
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