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陸は店の外へ出ると、商店街の雑踏の中を見回す。 すると、10メートルほど先に女性はいた。 その足取りは、力なくフラフラとしている。 陸はホッと息を吐くと、ゆっくりと女性の後をついて行った。 この時の陸は、なぜだかわからないが 女性の事が気になっていた。 それは、女性が好みのタイプだったとか、一目惚れしたとか そういった事ではない。 とにかく、現役自衛官だった頃のように、 『嫌な勘』が働いたと言った方が正しいのかもしれない。 とりあえず女性がタクシーに乗るか駅へ向かうのを確認したら、 すぐに引き返そうと思っていた。 しかし、女性は商店街を抜けて線路沿いの道へ突き当たると、 駅とは反対方向へ歩き始めた。 不信に思った陸は、そのまま後をつけて行った。 しばらく歩くと、踏切の音が聞こえてくる。 この先に踏切があるようだ。 この辺りは商店街から外れた住宅地なので、 この時間、道を歩く人はほとんどいない。 猛スピードで電車が通り過ぎると、踏切音がやんだ。 遮断機が上がると同時に、数台の車が踏切を渡る。 その時、また踏切の警報音が響き始めた。 カンカンカンカン...... その音に促されるように、女は歩く速度を速めた。
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