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『お前は他の男にもちょっかいを出していただろう? 俺は軽い女は嫌いなんだ。だからお前の事は最初から遊びだったんだよ。お前も俺の事は遊びだったんだろう?』
その時、華子の頬を涙が伝った。
確かに、重森と付き合っていた時に他の男性と食事や飲みに行った事はある。
しかし、それは決して本気ではない。
重森はそれまで何度も浮気をしていたので、
もし重森と駄目になった時の事を考え、
何人かのボーイフレンドをキープしていただけだ。
そのボーイフレンド達とは、やましい事は何もしていない。
しかし、重森は信じてくれなかった。
『フフッ、いまだに思い出すなんて......初めての失恋は尾を引くって何かで読んだけれど、本当だったわね......』
華子の瞳にはさらに涙が溢れてくる。
『そう言えば、先日会った栞ちゃん、生き生きと輝いていて素敵だったな......』
華子には以前、異母姉妹がいた。
祖父母がふらふらしている母・弘子を心配して、
知り合いに頼んで見合い相手を探した。
弘子は親の言う通りに見合いをし、素直にその相手と再婚した。
その時、華子には二歳年下の義理の妹が出来た。
妹の名前は『栞』だった。
弘子の結婚生活は四年ほど続いたが、その後両親は離婚する。
離婚の原因は、弘子のホスト狂いと浮気だった。
だから、今華子と栞は赤の他人に戻っている。
華子は先日野崎の神戸出張について行った。
その時、飛行機の中で偶然栞に再会した。
栞はキャビンアテンダントになっていた。
元々栞は成績も優秀でしっかりした子だった。
おそらく、CAになる事は彼女の夢だったのだろう。
彼女はコツコツと努力をし、確実に夢を掴んだ。
夢を叶えた栞は、とても美しく輝いていた。
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